(side 英二)
部活の帰り道、何気なく立ち寄った公園に大きなひまわりが咲いていた。
「大石〜見て見て!ひまわりが咲いてるよ!!」
「ほんとだ可愛いな」
可愛い・・・その言葉に反応して、大石の顔をジーと見てしまう。
すると大石は苦笑した後、咳払いを1つして
「英二の方が可愛いよ」
と笑顔で言ってくれた。
最近大石も色々言葉に出してくれるようになってきた。
それが嬉しくて、ついつい催促してしまう。
だってホントここまで来るの大変だったんだ。
大石は付き合ってからも、なかなか好きだって言ってくんないしさぁ
その事で悩んだり、ケンカしたりして、
だからその分も取り返すぐらい言葉にだしてもらいたい。
大石もたぶん俺のそんな気持ち気付いてるんだと思う。
だから苦笑しながらも、ちゃんと言葉に出してくれる。
そして俺はそれを聞いて、ニシシって満足して笑うんだ。
「英二知ってる?」
「何を?」
急に話をふられて、少し戸惑いながら大石を見ると、
大石は優しい笑顔でひまわりを見つめていた。
「ひまわりって朝太陽が昇ってから沈むまで、ずっと太陽だけを見てるんだよ」
「えっと・・・」
「ごめん。わかりにくかったかな?だからね。ひまわりは朝は東を向いてるんだけど、
太陽の光を追いかけて、花が動くんだ。だから夕方には西を向いてるんだよ」
「太陽の光をおいかけんの?」
「そう。光をたくさん浴びる為に」
「へぇ〜〜大石って物知り〜」
「イヤ・・・そんな物知りって程じゃないと思うけど・・・・・・」
そっか・・・ひまわりって太陽を追いかけんのか。
じゃあひまわりは俺だ。
そんでもって太陽は大石。
俺は大石の優しい笑顔が見たくて、いつも大石の方を向いてる。
『英二』って呼んでもらいたくって、いつも追いかけるんだ。
大石の笑顔は俺のパワーの源。
大石がいないと充電だって出来ない。
大石がいるから、がんばれる。
大石は俺のすべて。
「英二?」
「あっごめん」
「何か考え事?」
「うん。俺の太陽は大石だって思ってたとこ」
俺がそう言うと大石は小さく首を横に振って
「違うよ。太陽は英二だよ」
そう言って、大好きな優しい笑顔で微笑んで手を差し出してきた。
俺は自分の顔が赤くなるのを感じながらも、
大石の手に自分の手を重ねてギュッと握り返して大石を見る。
大石の顔も夕日に照らされて、少し赤くなっている。
ひょっとしたら実際に照れて、赤くなってるのかも知れないけど・・・
そんな事を思いながらも、大石の凛々しい横顔から目が離せない。
チクショー!男前だぜ!
俺は繋いだ手に少し力を入れて思う。
大石・・・好きだよ・・・
絶対に・・・この手は離さないからな。
STEP後の話、一番初めにweb拍手の中に入ってた作品です。